その兄弟はめちゃくちゃだ。
ガンメンがどういうものか良く知りもしないのに刀1本で挑もうとするし
ナイフ1本で本当にどうにかしてしまうし
そんな破天荒な行動ばかりなのに見ているこちらに「なんとかなる」と笑ってみせる。
お気楽というか何も考えてないというか・・・
でも、まぁ胆の据わりっぷりは合格かな。
「なんにせよ助けられたのは事実だから、お礼くらいは言っときますか」
村に着いてから一向に姿を見せない兄弟は待っていたって現れてくれそうもない。
仕方が無いから探してあげよう。
手にしたカップが冷める前に
「シモン?こんな所でどうしたの」
「あ、ヨーコ」
村の入り口近くの倉庫の前に本日の功労者の1人でもあるシモンが呆然と立ち尽くしていた。
「カミナとを探してたんだけど・・・」
「あら、アタシも」
「それがさ。あれ」
シモンが指差すのは少し開かれたままの扉の向こう。
その暗がりには大きな影が見えた。
「なーんだ。寝ちゃったんだあの2人。案外お子ちゃまなのね」
年下のシモンを差し置いて寝てるんだから本当に子供じゃない。
カップをひとつシモンに手渡してアタシは残りに口を付ける。
「飲んだらちょっと手伝ってくれる?」
このカップを空けたら毛布を探しに行こう。
夜は少し冷えるから風邪でも引いたら大変だもの。
・・・だから寝顔みるくらいは役得よね。
アタシは早々に空けたカップと目の前の小さな共犯者の顔とを交互に見遣り無言の圧力をかけた。
数分後、アタシは少し後悔していた。
確かに期待通りカミナの大口開けたマヌケ面も頬ずりしたくなるようなの可愛い寝顔も見れたんだけど。
その寝入る体勢が問題だった。
カミナの投げ出された両足の間にちょこんと丸まる。
そしてはしっかりとカミナの胸に顔を埋めているし、カミナもこれまたしっかりとを抱きかかえてしまっている。
ねぇ、ふつう兄弟ってこんなに密着しているもの?
これは兄弟というよりは・・・
「いつもこんな感じだよ。むしろ寝てるから静かなくらい」
固まってしまったアタシに代わって2人に毛布を掛けたシモンはせっせとその隣に寝床を作っていた。
少年よ、逞しいね。
「ヨーコ。スープありがとう。おいしかった」
はにかむシモンにアタシは適当に相槌をうつ。
「それじゃあオヤスミ」
「おやすみなさい」
就寝の挨拶とともに私は倉庫を後にした。
いくつか疑問は残るのだけど、きっと一晩寝たら忘れてしまっていることだろう。
さあ、アタシも眠ろうかな。
睡眠不足はお肌の大敵だもの!
私は何も見なかった
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